補償金という汚職の温床について

2018年10月21日分記事転載(アントレAfricaブログより)

どうも、Food for Future Plcの竹重です。   今回は、エチオピアの最大民族のオロモ族による州であるオロミア州のArsiというところからのレポートです。   南部諸民族州のシダマゾーンの投資局長逮捕以降さまざまなことが押し寄せるように起きていますが、今回はオロミア州での土地探しについて、補償金と絡めてレポートしてみます。  

エチオピアの土地について

  エチオピアでは全ての土地は国(州)に帰属しています。 どういうことかというと、土地の所有権が認められない仕組みになっているということです。   全ての土地は国(州)のもので、家を立てるにも事業を行うにも基本的に土地を国から借り受けてその上に家や事業を創造するというプロセスになります。   さて、この前提のもとで今回の土地探し@オロミア州で起きたことをご紹介いたします。  

Arsi Zone Investment Officeにて

  まずは、Arsi Zoneの行政の中心地Asellaの街にあるArsi Zone Investment Officeにて。 基本的にエチオピアの行政は以下の図のような体系になっています。

エチオピア政府の仕組

中央政府を頂点に州政府(特別市政府)からZone政府→Wareda政府となっていますが、今回は州政府の下に位置するZone政府オフィスですね。   実際に土地の収容に関しては、基本的にこのZone政府の意向というが非常に重要になります。   州政府だと領域が広すぎて土地について管理しきれないのが実情ですね。 オロミア州の中でも標高の高い高地位置するArsi Zoneはエチオピア国内の酪農地帯としても有名で、数多くの長距離ランナーの出身地でもあります。   まずは、この標高の高いArsiの投資局長に会ってきました。   一通り、事業内容を説明、こんな土地を探してるんだよねーっと事情を説明。   すると彼からこんな返答が。。。   『うーん。Arsiには投資家がいっぱい来るからねー、土地は政府で持っている土地はほとんどないんだよー。もしかしたら、60km南に降ったBokoji Waredaに行けば土地もあるかもね。無ければ、農家の人たちに補償金を払って土地を譲ってもらうこともできるよ!』   ほぅ、知り合いの大学教授や事前に地元の方々に聞いていた話とはかなりズレがあるな。。。。

土地はいっぱいあるのがオロミア州、是非、この地域にも外国投資を呼び込んで、技術移転や雇用の創出をしてもらいたい。

概ね、上のようなお話が地元の方々からは聞こえてきたんですけどねー。。。  

Asella City Investment Officeにて

  気を取り直して、同じくAsella市内にある今度は市役所に。 本来、このZone域内の土地はZone政府の管轄のはずなのですが、Asella市は日本でいう政令指定都市のような感じで土地についても自治権が認められているようです。   さて、こちらのAsella City Investment Officeでも投資局の局長さんにお会いして、事業の概要、探している土地についてご説明。   投資局長は、先ほどとは打って変わってめちゃくちゃしっかりと以下のような回答を。   『まずは、Asella市に来てくれて本当にありがとう!ご存知の通り、こちらは市役所なので、街の中心地とその周囲の限られた地域しか管轄していないんだ。だけど、今回のような機会は私たちにとってとっても大切な機会だから、なんとか、希望の土地を探そうと思う。幸い最近、我が市の行政区が広がってそっちの方にはまだ政府名義の土地があるかもしれないし、まずは、事業計画書を提出してもらって市長にも直接説明する機会を設けよう!』   いやいや、めちゃくちゃちゃんとしてる。。   市長さんとの面談は、市長の会議日程などの都合で明日以降になってしまいましたが、その後も電話でアフターケアまでしてくれる投資局長さん。 素晴らしい。。  

Limu Bilobilo Wareda Investment Officeにて

  さて、感触のよかったAsellaの投資局、市長との面談が週明けになったこともありその間を有効活用すべく、Zoneの投資局から聞いていたBokojiという地域に向かいます。   Bokojiを含む地域を管轄するLimu Bilobilo Wareda Investment Officeに行ってきました。 こちらでも、他のところと同様に事業の概要、求める土地などについて説明。   『いや、うちの管轄する地域にはそんな土地ないよ。必要なら補償金を払って農家に土地を譲ってもらうしかないね。』   訪ねたのが金曜日ということもあってか、随分とつっけんどんな対応。 そうか、土地はないのね。  

見渡す限りの土地

遠くに見える山の方までぜーんぶ土地無いってさ。

見渡す限り広がる農地、その向こうにある山々まで、ぜーんぶ誰かに貸し出してしまっている土地なのね。。。。   その後、BokojiでWorld BnakのAGP(Agricultural Growth Program)というプログラムで働く専門家とお話を。  

土地がないなんてバカな話ないだろう。みてごらんよ周り、土地なんて人に貸すほどあるんだって、なんで政府はそんな適当な対応をするんだろう!!!現地の人にとっても、こういった機会はすごく重要で、なんなら僕の知っているモデルファーマーのお話をこれから聞きに行こう!

とこれまた前向きに現地の農家さんまで紹介してくれて、土地がないはずないと力説してくれました。  

補償金=汚職なのか?

  さて、こんな感じで地方を回っては土地を探す日々を送っている僕ですが、最近感じる共通の問題点。   それが補償金の存在です。   エチオピアは、アフリカビジネスを行う人たちの間でしばしば汚職の少ない国だなんて言われたりしますが、これは本当なのかと最近疑問に思うことがよくあります。   補償金を隠れ蓑に汚職をする地方政府の高官はちょこちょこ話に聞きますが露骨に政府保有の土地がないということにして補償金を投資家から毟ろうとするケースは結構あるようです。   今日会った、Arsi大学の教授もこの問題には触れていて、土地がないはずがない!と断言していました。 プラスαで以下のような話を披露してくれました。

過去にAdamaからジブチに繋がる鉄道開発を進めている時、鉄道ルートに暮らす住民に対して補償金が支払われたのですが、その支払い方法がひどかった。トータル100万ブル住民に払われるべきところ地域政府は、住民の銀行口座に一度100万ブルを振り込むが、住民にあなたたちの取り分は30万ブルで残りはキャッシュで政府に返してください!なんて事件もあったんですよ。

補償金の金額がなぜかこの国物価とは全く乖離したところに設定されていることに正直驚きを隠せない部分も多分にあるのですが、全てではないにしろ、この補償金はかなりの確率で政府の汚職の温床になっているのだろうなと感じる今日この頃です。   さて、いつになったらきっちりと土地を取得することができるのでしょうか。。。 いろいろ、手は打ってみているものの、なかなか出口の見えない日々にやや疲れる竹重からのご報告でした。