エチオピアの近況

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2018年10月16日分記事転載(アントレAfricaブログより)

どうも、Food for Future Plcの竹重です。   今回は、エチオピアの近況を少し、自分自身の情報整理の意味も込めて。 (以下、私見も含まれる内容にて鵜呑みにはしないでください。)

超長文になってしまいましたが、エチオピアの現状について結構まとまっていると思うので、興味のある方は最後まで是非読んでみてください。

ここ数ヶ月のエチオピアの状況

  アビー新首相が今年4月2日に就任して以降の主だった動き。  

アビー首相の実行した主だった施策

・政治犯の釈放 ・エリトリアとの終戦 ・インターネットなどをはじめとする情報統制の解除 ・国営企業の一部民営化の実施  

アビー首相就任後の主だったトラブル

・アビー首相の集会での爆弾事件 ・ミレニアムダムのチーフエンジニア殺人事件 ・民族間の衝突(一部地域で死傷者多数) ・OLF(Oromo Liberation Front)によるものと見られる首都アディスアベバでのプロテスト   アビー首相就任後の大きなトピックは大まかに言うと以上のような感じです。  

民族融和への課題

  民族融和を目指すアビー首相ですが、民族融和への道はなかなか険しそうです。 以下、険しい道のりだと感じさせられるトピックを前項で挙げた事象に絡めて考察して見ます。  

情報統制の終焉は民族対立の始まりか?

  アビー首相が就任して以降、FacebookなどのSNSが規制されることもめっきり少なくなったエチオピアですが、情報統制をやめ言論の自由を保証する方向に舵を切ったことにより、皮肉にも民族対立が激化(表面化しただけかも。)しています。   具体的には、事業予定地のある南部諸民族州の州都であるアワサ市でも、南部諸民族州を構成する主要民族であるシダマ族とワライタ族の衝突(死者も出てしまった。)や、南部諸民族州ゲデオとオロモ州グジの間での大規模衝突。   その他にも、ちらほら民族同士の衝突のニュースが聞こえてきます。  

治安悪化を印象付けるのが目的か?

  これは、潜在的な対立意識が表面化したものなのか、もともとあったものの情報が入ってこなかっただけなのか、はたまた、反アビー派が民衆を先導して民族対立をことさらに強調しているのかなど様々な憶測を呼んでいます。   個人的には、もともと民族間にあった不満を反アビー派が焚き付けて問題を起こしていると言うストーリーがもっともしっくり来る気がします。 反アビー派としては、アビー政権に変わってエチオピアの治安が悪化していると言う印象を植えつけたいのでしょうね。。。  

エリトリアとの終戦による影響。

 

一般的にはグッドニュースとされるものの。。。

  エリトリアとの終戦は、アビー首相が就任して半年で行った大きな実績の一つであると言うのは疑いようもない事実だとは思いますが、実はエリトリアとの終戦によって短期的には、エチオピア国内に負の影響も出てしまっているのが現実です。   では、具体的に何が負の影響なのか?  

OLFと言う負の遺産。

  OLFのアディスアベバ市内でのプロテストを主だったトラブルの一つとして冒頭で挙げさせていただきましたが、これにはエリトリアとの終戦が深く関わっています。  

OLFとは

簡単にOLFと言う組織について言及しておきましょう。OLFとはOromo Liberation Frontの略で日本語だとオロモ民族解放戦線なんて訳されたりする組織です。 エチオピアの最大民族オロモ族の名前を冠していることからもわかる通り、オロモ族至上主義的な発想をもつ団体ですが、1991年のエチオピアの民主化の際に、現在のエチオピア与党でもあるEPRDFとの対立により、OLFの主要メンバーは国外逃亡を余儀なくされました。 本部はエリトリアのアスマラにありますが、エリトリア以外にもソマリア、ケニアなどに活動拠点があります。 もともと、エチオピアのEPRDFとの対立により国を追われたこともあり、エチオピアーエリトリア戦争の際には、エリトリア政府を支援していたりと行った経緯がありました。  

エリトリアとの終戦の結果

  エリトリアとの終戦の結果、これまで一線を隠していた、エチオピアーエリトリアの対立構造の中で、存続していたOLFがエリトリア側にとってもエチオピアとの友好関係を維持する上で非常に邪魔な存在になってしまいました。   エリトリアのイサイヤス大統領は、こうした状況を受けて、非武装化してエリトリアで平和に暮らすか、国外退去をするかとの判断をOLFのリーダーであるダウド・イブサ氏に求めたわけです。   結果的に、OLFリーダーはエチオピアに帰還することを選択したわけですが、エチオピアに帰還するオロモ至上主義の代表がなぜか大歓迎(!?)みたいな形でアディスアベバを囲むオロモ族にされて、結果的に死傷者を出すような大きなプロテストに繋がってしまいました。   実際のところ、僕の周囲の友人に聞いても、OLFのなんたるかを知らずとも、オロモ至上主義的な発想に乗ってプロテストに参加していた人も多いのではと言う話もあります。   基本的に、民主化以降のエチオピアで最大民族でありながら政府中枢に権力争いに負け入り込めなかったオロモ族の鬱積した不満が爆発したといった側面もあるのかもしれませんね。   ということで、公式にはOLFによるプロテストであることの証拠もなく、エチオピア国内に新たな不安分子を抱えてしまうことになったという側面もエリトリアとの終戦にはあったりするわけですね。  

汚職の撲滅に向けて

  アビー首相は就任以降、汚職に対して強硬な態度をとってきています。  

ミレニアムダムのチーフエンジニア殺害事件

  エチオピアでも最大規模の公共工事、ミレニアムダム。   このチーフエンジニアが殺害されるという事件がありました。 アビー首相は、汚職撲滅に向けて強硬な取り組みをしていますが、実はこのミレニアムダムのチーフエンジニアの殺害事件について、汚職についての内情を知るチーフエンジニアが口封じ的に殺されてしまったといった噂が広まっています。  

南部諸民族州でも。。

  以前も少し触れさせていただきましたが、僕の事業予定地である南部諸民族州でも、約100人の政府高官が8月末に一斉に逮捕されるということがありました。   これは、汚職容疑とアワサ市で発生した、シダマ族とワライタ族の民族対立の扇動容疑とのことでしたが、南部諸民族州の前州知事は、南部諸民族行政に幅広いネットワークをもち、汚職で無茶くちゃしていたという噂もあり、彼とつながりのあった高官が一斉に検挙されてこれからクリーンな行政を行えるようにするとのことです。   いかんせん、こちらのニュースについても噂の域を出ない部分もあり、汚職問題に関してはエチオピア国内でもかなりセンシティブでニュースソースはもちろんのこと正しい事実を見つけることすら困難であることに頭を悩まされています。  

どうした、南部諸民族州?

  これまで、南部諸民族州はエチオピア国内でもかなり治安の良いとされている州だったのですが、昨今、上にあげた話もそうですが、パラパラ問題が出てきています。 先日EPRDFの党会議が行われアビー首相もアワサ入りしていたのですが、アビー首相がアワサ入りした直後にアワサ市の台所とも呼べるガバヤ(伝統市場)が放火されるという事件が発生しました。   これには、アワサ市民の多くも、アビー首相が就任して以降、目に見えて治安が悪化していると不満を募らせています。   個人的には、これは、アビー首相の支持を失墜させたい旧政権関係者なのか、汚職公務員なのか、なんなのか見えませんが反アビー派による動きだと考えていますが、一歩引いて冷静にポジティブな変化を促せるそんな冷静さを持ってもらいたいなと思っているところです。  

最後に。

  最後になりましたが、昨今、やや国内情勢が不安定化しているエチオピアですが、政府高官の逮捕により、土地の取得手続きが止まってしまっています。   なかなか、一筋縄ではいかないエチオピアですが、諦めず、頑張っていきます!!   若干、暗い話が多くテンションが下がっておりますので、みなさまからの励ましの言葉お待ちしております。   かなり、長文になってしまいましたが、現在のエチオピアの状況少しでもご興味を持ってもらえると嬉しいです!   では、また。。