エチオピア小規模農家の実情

今回は、僕がエチオピアで乳加工品事業をしたいと思った経緯に迫るべくエチオピアの小規模農家の実情について書いていこうと思います。

エチオピアの牛事情

小規模農家の実情を書くにあたり、まずは前回も少し書きましたがエチオピアの牛事情について書いていきたいと思います。

エチオピアには牛が多いという話ですが、もう少し具体的に示すとエチオピア国内における牛の頭数はおよそ5,000万頭言われています。

日本の乳用牛と肉用牛の頭数は合わせても400万頭ぐらいであることからも、このエチオピアにおける牛の頭数の多さが理解いただけると思います。

で、こうした牛なんですが、日本と違ってそのほとんどが小規模農家さんたちに飼育されています。

庭先で飼われる牛

右の写真のような感じで、エチオピアの地方に行くとほとんどの小規模農家さんが庭先で牛を数頭飼っています。

こうした牛たちは畑を耕す際に使われたり牛乳を絞って、日々の食生活の中で消費されたりしています。

エチオピアの農家さんにとって牛は切っても切り離せない関係なんですね。

そんなエチオピアの牛ですが、もともとエチオピアの牛というのは、ZebuやHorroと呼ばれるコブ牛がほとんどでした。

最近になって乳量が多いホルスタインなどとの交配も一部で見受けられるようになってきましたが、まだまだ、酪農の盛んな地域にでも行かない限りこうしたホルスタインなどを見かけることは少ないですね。

エチオピアの小規模農家

エチオピアでは、人口の実に80%が農業に従事しています。

また、そのほとんどが都市部ではなく農村部に住んでいるのもエチオピアの特徴と言えます。

エチオピアの首都アディスアベバでさえ人口は300万人程度と言われています。

人口が約1億人いるのに最大の都市で人口が300万人というのは、いかに地方の農村部に住んでいる人たちが多いのかを物語っていると思います。

さて、そんなエチオピアの国を支える小規模農家さんたちですが、どんな生活をしているかというと。。。

そのほとんどの方々が限られた収入で暮らしています。

これは、マーケットへのアクセスを持てない農家さんが極めて多いからです。

都市部や都市部の近くに暮らす一部の農家さんは自分たちの作った野菜や穀物、牛乳などを販売することができますが、先ほども書いた通り、エチオピアの農家さんのほとんどがいわゆる田舎に暮らしています。

そのため、なかなか商品をマーケットに置いて販売するといったことができないわけです。

先日、エチオピアの南部にある南部諸民族州アワサ市から東に60kmほど離れたGugumaという地方の農村を訪れました。

このGugumaという地域では、牛乳のコレクティングセンターを地域の協同組合で運営しているのですが、これがなかなか面白いですね。

写真の通りコレクティングセンターといっても冷凍庫と牛乳を入れておくプラスチックのタンクが数個、それに加えてバターを製造するバターチャーンが1台あるだけ。

ミルクコレクティングセンター@Guguma

でその牛乳の集め方はというと現地の農家さんがポリタンクに朝絞った牛乳を入れてこのコレクティングセンターまで歩いて持ってきます。

そんなわけで、このコレクティングセンターでは、周囲に暮らす約25軒の小規模農家さんからしか牛乳を集めることができていません。

それ以外にもこのGuguma地域には小規模ながら牛を飼っている農家さんが少なく見積もっても百数十軒は農家さんがいます。

そんな農家さんたちはせっかく牛乳を絞っても現金を稼ぐことができていないわけですね。

そんなこんなで、、

そんなこんなで、小規模農家さんの現実を知り、その課題を理解する中で、やっぱりこうした商売のチャンスが少ない小規模農家さんにもお金を稼ぐ場を作り出したいなと思い、現在、牧場・乳製品加工事業を開始しようと目下準備を進めているわけです。

小規模農家の方々をマーケットにつなぐお手伝いと、生乳を加工して付加価値をつけて販売することで、こうしたエチオピアの小規模農家さんの収入の増加に少しでも寄与できればなと思っているわけです。

実際に、エチオピアでの事業の立ち上げについては、なかなかルールとしても不透明な部分が多く法人設立だけでもかなり時間がかかってしまっていますが、そのあたりの話はまた別の機会にできればなと思います。